May 22, 2011
ーこの地方の日の出は、日々新たに私を圧倒する出来事であった。劇的だったのは、地平線上に太陽が急に昇ってきたときの光輝よりも、それに続いてひき起こることの方にあった。私は夜明け直前に、キャンプ用の椅子を持ち出して、かさアカシアの下に座る習慣をつけた。私の前には小峡谷の底に、黒い、ほとんど暗緑色のジャングルが細長く横たわり、谷の反対側にはジャングルの上に聳える大地の外輪があった。まず、光と闇の対照がくっきりと鋭くなった。それから所持物がはっきりとした形をとって光のなかに現われ、光は緊密な輝きとなって峡谷を満たした。谷の上方にみえる地平線はまばゆいばかりに白んだ。次第に輝きを増してくる光は諸物の構造にまで透過するように見え、諸々の事物は、まるで色ガラスの破片のように、ついには透明に輝きだすほどにまで、内側から輝いてくるようになった。すべてのものは閃耀する水晶に変容してしまう。べル・バードの泣き声が地平線のあたりに響き渡った。このような瞬間には、私はまるで寺院の内部にいるような気がした。それは一日のうちの、もっとも聖なる時間であった。私は歓喜して飽くことなくこの光輝を眺めており、むしろ時を超越した恍惚にひたっていた。ユング自伝 - 旅
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